Gengoの顔: Alex

今回紹介するAlexは、ロシア語から英語の翻訳をするトランスレーターです。Alexが育ったのは、彼女の言葉を借りれば「ロシアにあるわたし独自の世界」だそうです。現在ロンドンで暮らしているAlexは、自身の内向的な性格がトランスレーターに合っていると考えています。

何ヵ国語を話せますか? また、どのように学び、語学力を維持していますか?

ロシア語と英語。イタリア語も少々話せます。フランス語もほんの少しなら。エスペラント語も学びましたが、長い間使っていません。

語学力の維持は楽しみながらすることが一番だと思います。個人的に学ぶことは楽しいものです。私の場合、ノートを何冊か用意して、映画やニュース番組やドキュメンタリーを見たり、本や記事を読んだり、音楽やラジオ番組を聴いたりして、使えそうな単語や表現をメモしています。ポイントは無理をせずアンテナをはること。この方法なら、物事をコンテクストの中で学べるだけでなく、身近に思えるコンテクスト (興味深い歌詞とか) の中で学べます。

無料のオーディオブックやYouTubeは本当に役に立ちます。私にとって、良質のクラシック音楽や趣のある子供向けの物語は、ホワイトノイズのようなラジオのおしゃべりよりもよっぽど良いBGMになるんです。私は、そのときの気分に合ったジャンル (クラシック音楽、ドキュメンタリー、ラジオドラマなど) をよく集中的に流しています。BBCのラジオ4には、けっこう良い脚色のものがあります。

このアドバイスは、私の母国語であるロシア語だけでなく、英語やイタリア語にも当てはまります。どんな言語でも、向上できる余地は常にあります。

トランスレーターになったきっかけは? 

5歳のときからトランスレーターになりたいと思っていました。でも学校に通いだしてから、どんなキャリアパスを選ぶべきか全く分からなくなっていました。最終的には、自分の心の声にもう一度耳を傾けることにして、最も楽しんでいた2つの分野である、絵を描くことと、言語に関することをキャリアパスとして選ぼうと思いました。

しかし、残念ながらアーティストというのは、我が家で全うな職業と見なされていませんでした。だから、言語学と翻訳をやっていく道を選んだのです。現在では、絵も翻訳も両方行っており、どちらかが欠けた人生なんて想像もできません。一見、絵と翻訳はあまり共通点がなさそうな分野ですが、両方とも多くの問題解決を伴うクリエイティブな活動です。

翻訳をしていて、もっとも楽しい、難しいと思うことは?

私はどんな翻訳に取り組むときでもその翻訳に「ほれ込む」方法を見つけるんです。同時に、その翻訳は最大の挑戦になります。その翻訳が終わると、新たな「恋」という翻訳プロジェクトとさらに難しい挑戦が訪れるんです。

このことは、絵を描く場合にはとくにはっきり出ます。実は1年ほど前には遠近法が全然できなかったんですが、練習や (とくに写真の) 観察を重ねてから、同じスケッチに再挑戦して、今度はきちんと完成できたんです。もしかしたら、また1年経つと逆転して素人っぽく見えたりするかも知れませんね。

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トランスレーターになって得したことは?

語学は視野を広げてくれます。漠然とした意味じゃなく、地に足がついた実用的な意味で。外国の映画や音楽、メディア、ウェブサイトにアクセスしやすくなりますし、それらを視聴・閲覧するときも、BBCやGoogleがこちらの地域やシステムの言語に応じて表示しようと決めたものに頼らずに、自分の好きなようにできますから。旅行するときも、自由が広がります。

それに、さまざまなことをトランスレーターという仕事を通して学べる点も気に入っています。本当に多種多様な翻訳がありますから!

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あなたのオフィスまたは仕事場の環境を教えてください。

フリーランスとしてフルタイムで働いているので、家の中のものを少しずつ並び替えながら、仕事ができる自分専用のちょっとしたスペースを作っているところなんです。アトリエと呼ぶにはほど遠いようなスペースですが、あらかじめ決められたオフィスで働くよりはよっぽどましです。内向的な私は、オフィスワークより自分ひとりで働いて、休憩して散歩に出たり、ベッドでしばらく座りながら集中して考えごとをしたり (または、何かをスケッチしたり) できる方が好きなんです。

とにかく重視したのは、仕事が「苦行」にならないようなスペースづくりでした。また、数ヵ月前にスタンディングデスクに変えましたが、これは大成功でした。

仕事をしているときの眺めはまあまあですね。気持ちのいい夏とか、冬で珍しいくらい雪が降った週とかはとくにいい感じです。私の住んでいるエリアは、ロンドンでも比較的静かで中心街から離れた場所にあります。今のところは、風景が靴箱みたいな背の高いコンクリートのかたまり (英国では一般的に「フラット」と呼ばれる代物です) に台無しにされてはいないんです。

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あなたの経験や知識に基づいて、他の人におすすめしたい本や映画はありますか?

やはり古典がおすすめです。どの国のものでも素晴らしいですから。また、フィクションや長編映画もおすすめです。どちらも、物事を考えたり観察したりすることを非常に上手に教えてくれると思います。以下は、おすすめのごく一部です。

  1. 『すばらしい新世界』 (オルダス ハクスリー著): ジョージ オーウェルの『1984年』が有名になり過小評価された、深い洞察を秘めた本
  2. 『たんぽぽのお酒』 (レイ ブラッドベリ著): 時にはやたらゆっくり、時にはやたら甘く。この本は、なかなか素敵な人生観 (と子育て観) を与えてくれます
  3. 『ずっとやりたかったことを、やりなさい。』 (ジュリア キャメロン著): 以前、この本のおかげで、創造性を使ってつらい時期を乗り切れたことがあります。「アーティストデート」は素晴らしいアイデアだと今も思います
  4. 『百年の孤独』 (ガブリエル ガルシア=マルケス著): 天才クリエイターの作品 (さまざまなレベルで)。
  5. テリー ギリアムの『未来世紀ブラジル』 : この映画の見所はいろいろありますが、とりわけ素晴らしいのは、クリエイティブな人物は最先端のCGIなしでもここまでやれる、ということを見せてくれる点です
  6. 100年以上前に書かれたノンフィクション書のほぼ全部: 哲学でも、自己啓発 (もちろん、サミュエル スマイルズも要チェック!) でも、自伝でも、昔のノンフィクションを読むことは、視野を広げて、何世代も前の人たちが木の上で生活していたわけではないことを理解するのに役立ちます。たとえばプラトンは「料理人たちがセレブになってしまって困る」と文句を言っています。面白いでしょ?

仕事中につまむお気に入りの「トランスレータースナック」は何ですか?

新鮮な果物、ダークチョコレート (カカオ85%以上のもの)、各種のお茶、それとお水です。

おすすめの翻訳ツールは?

翻訳ツールは、場合によってかなりの時間節約になりますが、テキストを小さなセグメントに分割してしまう点と直線的なワークフローを強制する点が嫌です。これは、絵を描くときにスケッチから始めて詳細を描き足していく代わりに、マス目に分けたものを1つずつ描いていくようなものです。私はときどき、全テキストを巨大な行間で印刷して、小さな文字のメモを鉛筆でそこら中に書き入れています。

生産性を向上するためのおすすめツールやサービスはありますか?

各種のリストや、手に取って使える美しいノートが好きなんです。ポケットサイズの自家製ファイロファックスをずっと使っていて、カテゴリー別のリストを保存しています。あと各日誌は、各ページを10個のマスに分割して、フォーカスしようと思っている5つ前後の主な事柄をまとめています。

SomToDoのアプローチは、私のリスト整理法にかなり近いです。イラストや加工する写真への各変更など、ひんぱんに更新するリストに利用しています。

Pocketも便利なアプリで、気が散るのを防いで時間を節約させてくれます。いろいろな記事はその場では読まずに取っておいて、仕事から離れてひと息つきたいときに読むようにしています。

トランスレーターとして仕事をはじめたばかりの人へのアドバイスは?

  1. 覚えておくべきなのは、語学教師のために翻訳しているのではない、ということです。誰かが実生活で使うために翻訳しているのですから、忠実に翻訳する必要があります。高価な絵画の贋作を作るようなものだと考えてみてください。つまり、あなたの仕事は、芸術界の「警察」につかまらないようにすることなのです。ですから、いったん休憩して、その後で自分の翻訳を「チューリングテスト (アラン・チューリングによって考案された、機械がどれだけ人間の真似ができるかを判定するテスト)」にかけてみましょう。ネイティブが書いたように思えますか?
  2. アンテナをはったり、注意を払うコツを学ぶこと。そのうえで、自分用の用語集に単語や熟語を集めはじめましょう。ルーズリーフ形式のノートは、この用途にぴったりです。ただし、「これを全部学ばないと」と自分にプレッシャーをかける必要はなし。とにかく注意していればいいんです
  3. 得意な外国語でも、自分がその言語のネイティブスピーカーとは言わないこと (ジョゼフ・コンラッドであれば別ですが)
  4. 学び続けること。学校でも、お金や時間の管理法を教えてくれることすらなかったでしょ?
  5. ただ働きはせず、「ノー」と言えるようになること
  6. 睡眠は十分に取ること
  7. 散歩やエクササイズは、リラックスするのにぴったりの方法です。私の場合、定期的なエクササイズなしでは生きられません

 

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Megan Waters

The author

メーガン ウォーターズ

コミュニティ マネージャー。南アフリカ出身。イギリスのOxford Brookes University卒業後、日本のCustom Media KKにてエディターとして入社。グルメから経済まで幅広いカテゴリーを担当。その後、フリーランスのエディターとして活躍し、2014年9月にGengoに参画。


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